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レイアース二次小説置き場 (Last One)

「魔法騎士レイアース」クレフ中心の長編小説を置いてます。

2020.01.24
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2012.10.05
「だからこそその瞳に、悲しい事柄が映らないよう、護ってやりたくなる。」

つづきはこちら からどうぞ。

――

セフィーロの城の周囲には、透き通るような青さの海が広がっている。海底の砂が白いため、明るいエメラルドグリーンに輝いて見える。

白波が打ち寄せる渚に、三つの巨大な影が停泊していた。一体はオートザムの戦艦、後の二体はファーレンとチゼータからの飛行艇だった。それぞれの国の将来を担う若者たちが毎月、セフィーロの柱制度が崩壊したその日に、セフィーロを訪れる。そして、意見交換を行っていた。といっても堅苦しいものではなく、皆その日を楽しみにしていた。

「わぁ、みんないるね!」
イーグルの部屋の窓から渚を見やった光は、チゼータやファーレンの姫が、海や風と談笑しているのを見つけて歓声をあげた。
「なんだか、お祭りみたい! にぎやかで嬉しいな!」
部屋の中には、いち早くイーグルの見舞いにやってきたジェオとザズの姿があった。
「はーっ、ここに来るとほんと生き返るぜ。自由に外の大気が吸えるなんて、オートザムじゃ夢のまた夢だもんな」
ジェオが、その大柄な体をうーんと天井に向かって伸ばす。ザズも、隣で深呼吸している。
「妹に、ここの空気を持って帰って来てくれないかって聞かれたんだけどさ。難しいよな」
「あとでクレフに聞いてみたらいいよ。きっと方法知ってるよ! ね、ランティス」
「……ああ」
光に、急ににっこり笑いかけられ、ランティスは表情を緩める。その肩を、ジェオが肘でつついた。
「おい! 客が来てるってのに、あっちに案内くらいしろよ。ほんっと、無愛想な奴だな」
決して責めているような口調ではない。ランティスは無表情のまま見返した。
「イーグルをおいて行くわけにもいくまい」
あん? とジェオは片眉を跳ね上げる。そして、腕をぐいとまくり、逞しい筋肉をあらわにした。
「だれが置いて行くと言った。連れていけばいいじゃねぇか」
ちょっとジェオ、とイーグルが呼びかけるのも聞かず、ジェオは布団を跳ねのけると、イーグルを横ざまに抱き上げた。
「お前、寝たきりにしちゃ重いな」
「筋力や組織が退化しないよう、治療していただいてますから」
「そいつはよかった。いつか目が覚めたら、いきなりFTOを乗りまわせるだろうぜ。FTOはずっとお前を待ってんだ……おいお前ら、後に続け!」
案内しろ、と言ったのを忘れたように、どんどんと外にむかって歩いて行ってしまう。
もっとも、ジェオやザズにとってはもはや、勝手知ったる城内だ。案内などいるはずがなかった。

ばたばたとザズが続き、部屋には光とランティスが残された。
「私達も行こ? ランティス。海ちゃんがケーキ持ってきてくれたんだよ」
「ケーキ?」
「私達の世界のお菓子だよ。海ちゃんのケーキ、本当においっしいんだよ!」
弾むような、一言一言がくっくりとした輪郭を持った光の声。楽しい時も、悲しい時も、その瞳は硝子のように感情を透き通らせてしまう。
覗き込んだその瞳には、ランティス自身が映っている。穏やかな、安らいだ表情をしている。
光の瞳は、相手の感情を受け止め、そのまま反射する。相手が嬉しければ嬉しい。悲しければ悲しい。
一切の裏のない瞳は美しいが、危うさも秘めていると思う。
「……ランティス? どうしたの」
「いや」
だからこそその瞳に、悲しい事柄が映らないよう、護ってやりたくなる。
光は最後の『柱』。この世界で最も意志が強いと認められた者だというのに。

光には、今ランティスが自分を心配しているなどと夢にも思わないのだろう。不思議そうな顔をして、ランティスを見上げている。
「ケーキ、だったな」
「うん!」
弾むように頷くと、ぱっとその顔に笑顔が広がった。そのまま、一周りは大きなランティスの手を取り、先に立って歩き出した。

この少女には、今ランティスが、もう少しだけ部屋に二人でいたいと思った気持など、分からないのだろう。
17歳になったとは言え、精神的には三人の少女の中で最も幼く、まだまだ少女のおもざしを残していた。

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